宇宙が冷たいのなら

 

 

彼の宇宙が冷たいのなら、冷たい宇宙を創るのはどれだけ怖いことだったんだろう、と考える。暗闇で光を求めて、また暗闇を創り、前も後ろもないような場所で光を生み出すために、もがく。どこに辿り着くのかもわからない、そんな中で、振り返らずに進み続けるのは、どれだけ苦しかったんだろう。彼らの希望になることができていただろうか。遠くても煌めきに、瞬きになれていたんだろうか。そうだったらいい。光を装った鋭い針は全部私に刺さればいいから、彼らに届くことがなければいい。夢を生みだす宇宙が、希望で溢れたらいい。夢から醒めても、その輝きが消えなければいい。破った殻すらも、宇宙の煌めきになったらいい。彼らが創り出した暗闇の光が、彼らを照らせるように。未来はもっと暖かいと信じられるように。静かでとても熱い青い炎のような強さを手に入れた彼らが誰にもかき消されることなく、もっともっと燃えさかればいい。かなしみを燃やすだけじゃなくて、温もりすら自分たちで創り出せたらいい。誰がなんと言おうと自分たちの道を拓いて、頂上まで登り詰めればいい。高みに登れば登るほど色が失われていくのなら、自分たちだけの極彩色を宇宙に散らそう。どこまでも広がり続ける宇宙を自分たちの色で照らして、そしていつか光の海の中で、永遠の希望をみて、笑ってほしい。この世の全て、なにもかも、思う存分に利用したらいい。彼らのすべてを世界に叫ぼう。いつか遠くなっていく彼らを心の底から愛していたい。今日も明日もずっと彼らはとくべつ。

 

 

 

幸せに生きることが正解じゃないけど怖くないようにってあなたが言った夜、ほんとうに1番怖かったのはあなただったのかもしれない。あのときあなたがみていた未来に光があったらいいと、いまさらでも希う。ただ楽しんでくださいって言うあなたがあまりも強くて優しくて、寂しさすら覚えるけど、どうか、あなたが怖くないようにって、あなたが幸せでありますようにって願う人が沢山いることは覚えていて。あなたの幸せが他の人も幸せにするから、どうか自分の幸せを大切に、他者のために犠牲にすることがありませんようにと願うけど、けど、きっと優しいあなたは差し出すことを厭わないんだろうな。だから、あなたを好きになった。
肩書きがあなたに背負わせるプレッシャーはどれほど重いのか、思うように動けないもどかしさはどれほどだろうか、想像もつかないけど、全部を呑み込んで最高を創り出し、さらなる高みに登り続けるあなたのことが大好きで、大好きで、これ以上の言葉がみつからない。幸せであってほしいよ、沢山笑って、美味しいものを食べて、真夜中に公園ではしゃいでる姿を弟に暴露されるような、愛おしい日常をこれからも沢山みれますように。きっとあなたは自分を甘やかしはしないから、私は届くことのないこの場所でずっと願うのだと思う。どうか健康で、ときには休んで、無理をしないで。あなたが特別で大切な仲間と今日も笑えますように。だいすき。

 

 

2020.10.16 えわ